ECサイトにおける翻訳のノウハウ: コストとスピードから見る、良い選択とは
Gengoはインターネットを通じて、世界135ヵ国で暮らす21,000人以上ものトランスレーターに、37ヵ国を超える言語で翻訳を依頼できるクラウド翻訳サービスです。何文字からでも依頼できる手軽さに加え、従来の翻訳サービスより仕上がる時間が早く、料金もお手頃なのが特色です。
Gengoはすべてのトランスレーターにテストを課し、合格率5%以下と厳しい水準を設けて翻訳の品質向上に努めています。安定感のある翻訳をご提供できることも手伝ってか、昨今は越境ECや訪日外国人向けのオンラインショップなど、国内外で1,000社以上が導入。言語の垣根を超えたウェブビジネスの現場で、数多くご利用をいただいています。
今回はそれらの経験を踏まえ、ECサイトにおける翻訳ノウハウの初歩をまとめてみました。これから多言語対応していきたいと考える運営者さまはもちろん、すでに海外向けの事業を展開している方にも、参考となるポイントがあるはずです。
サイトの多言語化でありがちなミスとは?
この文章をここまでお読みということは、あなたは日本語に対しては一定の知識をお持ちなのでしょう。時折、ウェブサイト上に書かれた日本語で「不自然だ」と感じるものはないでしょうか。たとえば、日本語ローカライズされた (という) 海外発のサービス画面や、機械翻訳にかけた海外サイトの表示などです。
そのとき、どんな点を「不自然だ」と感じるでしょうか。その理由の多くは、スペルミス、文法や文章の間違い、トランスレーターの理解不足… といったことに起因します。
また、文法上は適切であっても、表現力が欠けている場合に問題が起きがちです。サイトのキャッチコピーや商品の宣伝文句など、ある程度の意訳をもって伝える努力が必要になるケースです。つまり、サイトの多言語化をする際には、発注者側がコンテンツに合わせた適切な依頼をしなければなりません。
翻訳サービスはコンテンツごとに選ぶ
現在において、翻訳を依頼できる発注先は大きく3つに分かれます。機械翻訳サービス、翻訳会社、フリーランストランスレーターのいずれかです。それぞれ仕上がりのスピード、品質、費用を考慮し、適切なコンテンツを、適切な手法を使って依頼することが重要です。
- 機械翻訳: 単語レベルであれば、機械翻訳で問題ないことも多い。表現力を有するものはまだ難しい。
- 翻訳会社: 単なる翻訳能力だけでなく、特殊分野における知識を必要とするもの。たとえば、法的知識を必要とする契約書や、医療関係などの専門用語への理解が必要となるもの。
- フリーランストランスレーター: 機械翻訳よりは表現力を有するが、翻訳会社に求められるほどの知識はいらないもの。数量や情報のフレッシュさが問われるECサイトの商品説明文などは相性が良く、スピードと費用感のバランスも強み。
Gengoは世界中のフリーランストランスレーターたちをトランスレーターとして迎え入れていますので、あなたがECサイトを多言語化する必要があるのであれば、スピード、クオリティ、費用の兼ね合いからもオススメできる選択といえます。
ECサイトでは、「何を」「誰が」翻訳すべきなのか?
では、より具体的に、ECサイトでの翻訳を考えてみましょう。ポイントは、それぞれのページにおいてどの翻訳手法が適切なのかを見極めることです。望むべく結果を得やすくなるだけでなく、使い分けることで全体的なコストを抑えられるのもメリットです。
一般的な商品ページを例に取ると、下記のように商品の情報を分類でき、それぞれに向いている手法も見えてきます。
- 商品名
- 商品説明文
- 口コミ/レビュー
- 項目名 (サイズ、色、重量、配達方法など)
- 項目に関するデータ
- 利用規約/プライバシーポリシー
ご自分でECサイトを利用するときのことを思い浮かべてみてください。ページの大部分を占めるのは「商品名」と「商品説明文」であり、またそれによって買いたい気持ちに火がつくかどうかも分かれるのではないでしょうか。また、「口コミ/レビュー」も翻訳対象になりえます。アメリカのマーケティングソリューション企業であるBazaarvoiceによると、「顧客は広告よりもレビューや口コミを12倍信用する」という調査結果もあります。
もっとも、重要なパートを占めるからこそ「商品名」や「商品説明文」のクオリティを高めたいと考えれば、この部分にも翻訳会社を利用することはありえます。しかし、ECサイトは往々に大量のページを、継続的に、かつスピーディに翻訳しなければなりません。
その際に、商品名、商品説明文、口コミ/レビューについては、Gengoのようなクラウドソーシング型の翻訳サービスを使うことで、スピード、品質、費用のすべてのバランスが取りやすいと私たちは考えているのです。
この情報を提供すれば、翻訳のクオリティが上がります
実際の店舗でも、表現している世界観や価値観、店員の言葉遣い、あるいは特定のキャラクターを推しているといったように特色があるものですが、ECサイトでも同様です。そのため、トランスレーターに「私たちの店舗は、このような場所です」と周知することで、翻訳の質をより高めることが可能になります。
その情報を提供する方法としては、「スタイルガイド」と「用語集」の整備が挙げられます。スタイルガイドには会社の概要、サイトの目的、口調の指定、翻訳方法のルールなどを記載します。用語集には、よく出てくる表現を統一するために言葉を指定しましょう。
また、こちらは現在も開発中ですが、Gengoには以前に翻訳された文章をデータベースとして記憶させておき、再利用できる補助機能の「Translation memory (TM) 」もあります。商品説明などで同じ言葉を繰り返し使う場合は、TMを利用することで言葉がより統一され、コストを下げつつも翻訳のスピードを上げられるメリットがあります。
商品ページの文章は、いわば「店員の売り文句」や「コミュニケーション」をテキストで表現しているもの。トランスレーターへ情報を与え、具体的なイメージを持って翻訳に取り組んでもらうかが重要なのです。
Gengoのお客様の事例紹介
実際にECサイトの翻訳にGengoを利用している国内事業者の事例を紹介しましょう。
国内大手のECサイトである「楽天市場」では、海外顧客向けに商品販売をする際にGengoを利用し、商品名、商品説明、セール、キャンペーンなどの情報を翻訳しています。世界中の顧客にリーチできるビジネスチャンスの拡大に加え、従来の機械翻訳からGengoに変更したことでコンバージョン率 (CVR) が16%も向上しました。
世界に多くのファンを持つアウトドア用品メーカー「モンベル」は、主にオンラインショップに掲載する商品の説明文にGengoを利用しています。アウトドア用品は素材の解説や固有名詞のケアが必要になるため、表記や単語をまとめたスタイルガイドを別途設け、展示会ごとに500アイテムを超える商品の翻訳に活用しています。手頃な価格をはじめ、「Gengoの法人向け翻訳サービスで合計11万文字ほどの発注をした際には、10営業日で納品され驚きました」と、スピードに対しても評価をいただいています。
原宿を中心に国内外に約150店舗を展開する日本を代表するセレクトショップ「ビームス」は、海外からのニーズや訪日観光客の増加を受け、コーポレートサイトの多言語展開に注力。発注文字数に制限のないGengoを活用することで、ニュース性のあるコンテンツをタイムリーにリリースしています。台湾の顧客が多いことから繁体字対応を推進してきましたが、将来はニーズから香港などで利用される簡体字やタイ語への対応も検討中です。
最後になりますが、すべてにおいていえることは「ビジネス上のゴールに沿った評価指標の設定」です。
たとえば、CVRを指標にした取り組み事例では、それまで機械翻訳を用いていたサイトをGengoの人力翻訳に切り替えたところ、CVRが16%アップしました。かかった費用は18万円でしたが、売り上げにすると850万円の増加となっています。
CVRを高めたいのか、品質を重視したいのか、スピードが求められているのか… ゴールに沿った指標でPDCAを回すことで、適切な評価もできるようになるのです。
あなたのビジネスにGengoの持つ魅力を十分に反映させ、より良い成果が得られることを祈っています。
ECサイトの翻訳に関するご相談は、こちらからご連絡ください。