2015年の海外進出の抱負#5: 翻訳とローカリゼーションの戦略

今回のティップスでは、私たちの得意分野である、翻訳とローカリゼーションの戦略についてお話しします。

  • 何をどのように翻訳するか?
  • どの言語に翻訳するか?
  • 誰が担当するか?

今回はじめて翻訳やローカライゼーションに挑戦するみなさん、ようこそ! グローバル志向のある企業にとって1番のメリットとなるものの1つが翻訳と言えるでしょう。翻訳はユーザー体験を改善し、あなたの収益を増加させ、トラフィック (アクセス量) とコンバージョン率を向上してくれます。ティップス#5では、簡単なポイントを4つに分けて紹介します。

求めているものをしっかり把握する

コンテンツ翻訳の方法をリサーチしはじめると、よく似た意味を持つ業界用語に遭遇するでしょう。5つの主要なプロセスは以下の通りです。

  • 翻訳、別の言語で内容を表現するプロセス
  • ローカリゼーション、特定の国や市場に合わせた翻訳
  • トランスクリエーション、翻訳に似た、外国語のコピーライティング
  • グローバリゼーション、新市場参入の大まかな戦略的プロセス
  • インターナショナリゼーション、システムをローカリゼーションに向けて準備するプロセス

用語の詳しい説明をは、こちらからご覧いただけます。

翻訳が必要なものを把握する

異なるタイプのコンテンツには異なる種類の翻訳やサービスが必要になります。外国語の文章の大体の要点を理解するだけなら機械翻訳を利用するのも良いですが、企業のキャッチフレーズを翻訳する際には決して機械翻訳を利用するべきではありません。まずコンテンツを確認し、テーマ別にグループ分けをしましょう。以下はIT企業の例です。

静的コンテンツ
めったに更新の必要はないがメンテナンスが必要なコンテンツ

  • ブランド名やメッセージング
  • 中心となるウェブサイトやプロダクト
  • 取引用メッセージ
  • サービス利用規約や法律関連情報

動的コンテンツ
頻繁に更新され、量の多くなりがちなコンテンツ

  • ユーザー生成コンテンツ (ユーザーレビュー、コメント、ソーシャル関連コンテンツ)
  • マーケティングコンテンツ (メール、コンテンツマーケティング、ホワイトペーパー、広告、広報資料)
  • ビジネス上のやり取り (メール、文書)
  • プロダクトリスト (Eコマース)
  • サポートメッセージやドキュメンテーション

このリストがあれば、各グループのコンテンツに対する翻訳にどのように取り組むか(どんなタイプの翻訳を使用するか? コンテンツのタイプをそれぞれどのように維持するか?など)を決めることができます。

コンテンツすべてが外国語で的確に読めることも大事ですが、特に注意が必要なのは静的コンテンツになります。ブランド名やキャッチフレーズは影響力の高い内容ですので、このような翻訳に慣れた翻訳サービスやコンサルタントにより多くの時間とお金を投資することが賢い選択と言えるでしょう。ウェブサイトとプロダクトに関しては、トランスレーターとのより多くの確認や連絡が必要になりますし (言葉の長さや意味を文脈にきちんと合った正しいものにするため)、法律関連情報は常に法的文書の翻訳を行う資格を持ったトランスレーターによって行われるべきです。翻訳/ローカリゼーションにおけるこのステップは、もっとも慎重に行う必要があります。

一方、動的コンテンツは頻繁に (時には1時間おきに) 変化します。マーケティングコンテンツにおいては、異なるメッセージやデザインをA/Bテストで見比べるので、ランディングページやデジタル広告の寿命はとても短い場合があります。あなたが毎日何千ものプロダクト掲載の翻訳を行うEコマース企業である場合、このようなコンテンツには素早くリーズナブルな翻訳を利用する方が良いでしょう。レビューのようなユーザー生成コンテンツにも同様のことが言えます。

Eコマース や旅行業界における異なるタイプのコンテンツについて、Gengoのブログで詳しい情報を記載していますのでぜひご覧ください。どちらのガイドも、どんな翻訳プロジェクトや業界にもあてはまる豊富な情報が含まれていますので、この2つの業界以外の方でも役立つ情報を見つけていただけると思います。

どの言語に取り組むべきかを把握する

例えばあなたが中国やブラジルでの販売をはじめたいと考えているフランスの企業だった場合、フランス語から中国語とポルトガル語に翻訳するだけで良いと思いますよね? はじめてグローバル化を目指すときに、あなたのチームでコンテンツ翻訳に取り組んでいる人が複数の場合には、言語の選択でちょっとした失敗を踏んでしまうことがあります。

ターゲット市場をリサーチするとき、あなたにとってどの言語や方言を翻訳することをもっとも適しているかを把握し、それに固執することが大切です。イギリス英語とアメリカ英語に大きな違いがあるのと同じように、他の多くの言語にも (スペイン語やポルトガル語、ドイツ語などそれ以外の言語も) 違いを持つ方言が存在します。例えば、あなたがアメリカ人をターゲットにするドイツの企業だった場合、ウェブサイトはイギリス英語に翻訳したのに、プロダクトの説明にはアメリカ英語を使ったとしたら、おかしな印象を与え、ユーザー体験に悪影響をもたらしてしまいます。

誰が担当するのかを把握する

前回のティップスでは、明確なリーダーシップを確立することの重要性を紹介したように、翻訳やローカリゼーションにおいても責任者を決めることが大事です。大企業の多くはローカリゼーション用に個別のチームを編成することが多いですが、中小企業においては翻訳やローカリゼーションの担当者が以下のようなコンテンツ処理を担当する役割を既に持っていたりそのようなチームの一員である場合が多くあります。

  • エンジニアリング
  • マーケティング
  • クリエイティブや製作

必然的に、このような翻訳済みコンテンツをあなたのプロダクト、資料、ウェブサイトへと適用する人材が複数必要となります (例えばデザインやエンジニアリングなど) が、以下の業務の担当にも1人社員を割り当てると良いでしょう。

  • 他の部署からの情報も考慮したタイムラインを作成
  • 翻訳サービスやトランスレーターとのやり取りを担当
  • 翻訳済みコンテンツ自体の整理や維持

そのうち、それぞれの翻訳の必要性に合わせて、自然に複数のチームが生まれてくるでしょう。例えば、サポートチームがマーケティングチームまたはエンジニアリングチームのローカリゼーション担当部長を通してメッセージをフィルタリングをする必要はないはずです。その代わりに、この分野を管理する人を1人割り当てることをおすすめします。キッチンにシェフが沢山いすぎると、どうしても簡単に品質や効率性に影響が出てきてしまいます。サポート部長は独自チームの業務を担当し、サポートシステムとの翻訳インテグレーションのセットアップに関しては他の誰かが担当する必要があります。

翻訳やローカリゼーションにはここでお話しした点以外にも沢山の要素が存在します。それらについては今後のティップスでお話ししたいと思います。お楽しみに!


サラ サイウォック

The author

サラ サイウォック

ウェブ プロダクション担当。アメリカ、ミシガン州出身。Bowdoin Collegeのロシア語学科を卒業後、Gengoに入社。3ヵ国語をネイティブレベルに話し、さまざまなメディアや言語を通してアイディアを発信することに情熱を抱く。趣味は図書館で読書をすることと、夜中にオムレツを作ること。


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