基本事項:知っておきたいローカライゼーション用語
ローカライゼーション(略してL10n)には翻訳も含まれますが、ローカライゼーションの主な目的は、ターゲット市場に特化した製品を作ることです。
例えば、日英翻訳を行う場合、翻訳のプロセスには含まれないようなことも考慮する必要があります。日本円から現地通貨への変換、住所や日付の表記の変更、文化的・技術的な嗜好に沿ったウェブサイトのレイアウト調整などが、それにあたります。
ローカライゼーションの経験が浅ければ、知らない専門用語もあるでしょう(言語サービス業界は、物事を複雑にしがちです)。幸い、弊社の#l10n用語集では、よく使われる用語の概要が分かりやすくまとめられているので、ローカライゼーションを始める際に役立つでしょう。
以下は、言語サービス業界において一般的な用語の概要です。
機械翻訳
自動翻訳とも呼ばれる機械翻訳は、人の手を介さずに、コンピュータによって提供される翻訳です。しかし、機械翻訳はコンピュータのアルゴリズムに基づいた翻訳であり、その訳文には人のチェックが入らないため、翻訳の品質には多くの懸念が伴います。
翻訳メモリ(TM)
翻訳メモリとは、以前に翻訳された内容を保存し、トランスレーターが再利用できるデータベースのことです。同じようなコンテンツを翻訳することが多い企業様にとっては、翻訳スピードや内容の一貫性、費用対効果を改善させる強力なツールになり得ます。
完全一致
完全一致とは、翻訳メモリによる提案のことで、原文全体の翻訳をそのまま採用する場合に適しています。完全一致の訳文は、実際の原文と100%一致しますので、編集せずにそのまま使用できます。
あいまい一致
あいまい一致は、翻訳メモリが提案する「大まかな一致」のことです。原文との一致率はおよそ55~99%ですので、翻訳を完成させるのに少々編集が必要になります。
継続的翻訳
継続的翻訳(または継続的ローカライゼーション)は、ストリーミングコンテンツや更新頻度の高いコンテンツに対し、24時間体制の人力翻訳を提供する手法です。この手法は、昔ながらの翻訳手法とは相容れないものですが、翻訳をアジャイル開発プロセスにスムーズに統合させます。継続的翻訳には以下の特徴があります:
- 頻繁に生じるプロジェクト
- 短く早い翻訳サイクル
- 小規模な翻訳
- 短納期
インターナショナリゼーション(i18n)
インターナショナリゼーションは、ソフトウェアのローカライゼーションや翻訳を短時間で行うための基本となる概念です。一般的に、ソフトウェアまたは製品から全ての原文を抽出し、リソースファイル(画像や音声、動画ファイルといった、アプリケーションが使用する非実行可能データファイル)の言語を置き換えるプロセスを指します。
ロケール
ロケールは、ローカライゼーションでよく利用されるもので、ユーザーの言語と国または地域を定義する一連のパラメータから構成されます。翻訳やローカライゼーションのプロジェクトでは、ロケールは通常、言語識別子と地域識別子で構成されます。
Minimum viable localization
(最小限で実行可能なローカライゼーション:MVL)
モバイルアプリのローカライゼーションでよく使用されるMVLは、低コストで特定の市場を調査するのに最適な方法の一つです。MVLに含まれる戦略の一つとして、アプリ自体を翻訳することなく、アプリストアの概要やメタデータを様々な国際市場向けにローカライズすることで、異なる市場やそれぞれの市場のアプリに関する可能性を調査する方法があります。
ポストエディット
機械翻訳の質は、人による翻訳には遠く及びませんが、ポストエディットでは機械翻訳と人による翻訳のシナジーを活かし、翻訳の質を向上させます。機械が翻訳を行い、プロのトランスレーターがその編集を行うことで、ハイクオリティな翻訳を短時間で提供します。
リソースファイル
リソースファイルは、アプリまたはドキュメントの原文に使用される言語ファイルで、翻訳を保存するためにも使用されます。通常、リソースファイル名には、ファイルの言語を分類するため、当該言語の省略形またはロケールが含まれます。
Right-to-left(右から左へ読み書きする言語:RTL)
RTLは、アラビア語やヘブライ語、ウルドゥー語といった、右から左へ読み書きする言語を示します。アプリやドキュメントを、左から右に読み書きする言語(英語等)からRTLに翻訳する場合、レイアウトを大きく変更する必要があります。
用語ベース
用語集としても知られる用語ベースは、翻訳やローカライゼーションプロジェクトにおける用語管理の中心で、企業や業界特有の用語で構築されます。一般的に、以下から構成されます。
- 用語(ソース言語)
- 承認済みの翻訳(ターゲット言語)
- 説明
- 訳出せずソース言語のまま残す用語
Unicode
Unicodeは、IT業界における国際規格の一つで、ほとんどの表記体系において文章の記述および処理に使用されています。最も一般的な文字コードはUTF-8とUTF-16です。
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こういった用語に慣れて、海外展開の実現に一歩ずつ近づきましょう。
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