クラウドソーシングの鼓動: クラウドソーシングの活用術

「クラウドソーシング」(Crowdsourcing)とは、何かの問題の解決方法を多数の人間に委託させる新しいビジネス分野であります。ひとつのタスク (または多数の小さなタスク) を取り組む上で、何百・何千という人々からなるクラウドに拡散して解決へと導きます。弊社では、その「タスク」が「翻訳」になります。クラウドソーシングは翻訳以外にも、ユーザーレビュー投稿、デザインのお仕事、マーケットリサーチ、科学研究など、様々な用途に応用できる分野でもあり、近来のビジネスが望む迅速で高品質な生産アウトプットの源となるでしょう。

本年10月、Gengoはクラウドソーシング業界の年次総会、CrowdConfに出席しました。この業界がいかに確立されているかが分かる、興味深い一時となりました。例えば、会議の1セッション全てがクラウドソーシングにおける法的な考慮事項に集中していたり、Bloombergや eBay、LinkedInなど大手企業からも代表者が出席されていました。

私がとくに面白いと思ったセッションは、クラウドソーシングの古株であるAutodesk社のパトリック・ブーワー氏(Patrick Booher)、Thomson Reuters社のジェーソン・E・ローリンズ氏(Jason E. Rollins) 、そして Silicon Valley Software Group社のマット・スワンソン氏(Matt Swanson)の間で行われた「クラウドソーシングを始めたときに、知っていたかったこと」というトピックでのパネルディスカッションです。とくに、ブーワー氏の「データ上の問題ではなくて、人を使う上での問題を解決しようとしているんだ、ということに気づいていればどんなによかったか」という返答に共感しました。

ブーワー氏はAutodesk社のエンタープライズデータ管理のディレクターとして、何百万人にものぼる顧客の記録を正確かつ漏れなく維持する為にCrowdFlowerのクラウドを活用しています。この方法は業務を達成する上でもっとも素早くスケーラブルな方法ですが、しかし何の課題もないとは言い切れません。こうした課題の1つに、世界中の何千もの人員を管理・育成するという予期しないような難題 (ブーワー氏にとっての「人を使う上での問題」) があります。

Diginomicaのブログで掲載されたフィル・ウェインライト氏(Phil Wainewright )とのインタビューで、ブーワー氏は次のように繰り返し述べています: 「得られる結果は、自分が用意した仕事やトレーニングの内容と同レベルがせいぜいの限界で、それ以上の結果をもたらすのは困難です。どのようにして仕事の内容を複数のシンプルなタスクに分解すべきでしょうか? また、そうしたタスクに取り組んでもらう為に、どのようにクラウドを教育すれば良いのでしょうか?」

この様な話を聞き、私もふと考えました:Gengoのカスタマーが翻訳を発注するにあたり、「翻訳」の定義から「雇用」という観点から扱えば、より良い翻訳結果が得られることができないだろうか。 その答えは、「Yes」でもあり「No」でもあると私は思います。Yesである理由は、翻訳者のことを念頭に置いて翻訳を発注することは必ず重要だからです。CrowdFlowerでの成果は顧客が準備する仕事やトレーニングと同レベルの品質が限界だという点と同じように、翻訳のクオリティは提供される原文や文脈に大いに影響されるということです。

「No」である理由は、翻訳者チームを育成して管理する責任は、カスタマーの皆様にではなく、主にGengoにあることです。弊社では、翻訳者認定テストの作成、そのテスト水準の維持、そして専門家による日々のフィードバックで研修を提供しています。私は、翻訳者コミュニティ担当という役職であるなかで、翻訳者たちと密接に連携し、彼らが活躍するために必要なツールやリソースを提供できるよう励んでいます。このような繊密な作業がGengoの翻訳者クラウドを他社のクラウドから引き離す用途でしょう。

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私が今年のクラウドカンフで得た最大の収穫は、「クラウドソーシング」の定義はとても広いうことです。クラウドの言葉一つでも「熟練者vs未熟練者」、「一般vs専門」、「有料vsボランティア」、「参入障壁が高いvs低い」など、膨大な範囲での「群衆」およびビジネスモデルを表していることも発見でした。

未開拓な分野でもあることで、「クラウドソーシング」は、今現在ビジネスに応用するためには品質が懸念と思われる事があります。その一方、このソリューションが秘めている多様性も考えて頂く事も重要です。クラウドはあらゆる目的と形で構成・維持されています。どのような人たち(クラウド)をどのような仕事はお願いするのかを理解されることで、クラウドソーシングから最高の成果がだせるでしょう。


ナタリア マニディズ

The author

ナタリア マニディズ

ナタリアはGengoの翻訳者コミュニティマネージャーです。日本語を話すオーストラリア人であり、国際的な経歴 (ギリシャ語をほんの少し、オランダ語を少々) を持っているので、Gengoを通して世界各地の人々と協力できることを喜んでいます。ナタリアが夢中になっているのは、活気のある学習コミュニティを構築すること、東京で最高の食事ができる場所を見つけることです。


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