2013年TAUSフォーラムに参加して

先月、私はTAUS(Translation Automation Users Society、翻訳自動化ユーザー協会)のインダストリー・リーダーズフォーラムに出席する機会に恵まれました。

このイベントは翻訳業界の利用者(顧客)と供給者(翻訳会社)が集まり、業界のトレンドや、翻訳にまつわる課題の解決策について意見を交わし合う場です。参加者の中には業界で知名度の高いライオンブリッジWeLocalize、Smartlingをはじめ、アドビやフェイスブック、そして農業機器メーカーのJohn Deereといった幅広いブランドが顔を揃えていました。

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TAUSの会議は本物のお城で開催されました

フォーラムの目的は、(1) ビジネスモデルの変化、(2) 増大するデータ、(3) 標準化とその成功事例、そして(4) 品質の測定基準、これら4つのテーマにおける協業の機会を見いだすことです。まず最初に各テーマごとに4〜6人の参加者が集まりプレゼンをしました。

私は「ビジネスモデルの変化」をテーマにしたグループに参加し、Gengoが品質重視で取り組んできた結果、当社のプラットフォームが月に百万件規模の翻訳件数に対応できるようになった経緯を紹介しました。

最初のプレゼンテーションが終わると参加者たちによるディスカッションに移り、重要な課題についての議論や解決案が交わされます。2日間にわたってこのプレゼンテーションとディスカッションに参加しているうちに、私はとても興味深い2つのテーマが繰り返し浮上していることに気がつきました。

翻訳の狙いは何か?

1つは、翻訳に対する需要、あるいは翻訳を必要とする理由の変化というものです。プレゼンテーションのなかには、以前と比べて翻訳対象のコンテンツが短くなり、より「ソーシャル」なものが増えていると指摘する声がありました。

前述の農業機械メーカーJohn Deere社は、もはや自社機器の操作マニュアルを翻訳するだけでは不十分であることに気づいたと言います。同社の潜在顧客は、ネット上での他の顧客によるレビュー記事に注目しているそうです。従来は販売後に取扱説明書を翻訳すればよかったのが、昨今の潜在顧客は決断前に他者の評価を見たいと思っており、新しいターゲット市場において翻訳されたレビュー記事を事前に提供することが重要になっています。

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一方ライオンブリッジは、「企業がグローバル戦略に従い多言語化するのではなく、むしろ多言語化がグローバル戦略を牽引する立場にある」と述べました。ソーシャルメディアでのプレゼンスやレビュー記事の重要性はますます高まっています。まさにGengoでもこうしたコンテンツの翻訳依頼が急増しており、的確に翻訳されたオンラインコンテンツが売上の向上に直結するということを確信しています。

翻訳の質とは何か?

もう1つの重要なテーマは、「翻訳品質」に対する期待と定義が変化しているという点です。これまでは翻訳の品質と言えば、用語や文法の正確性などを評価するというものでした。こういった「翻訳の正確性」は今後も変わりなく重要であり、Gengoではパフォーマンス・スコアカード という翻訳品質を検査・評価する手段を確立しています。

一方 TAUSフォーラムで話題となったのは、売上増加など実際のビジネス上の成果も「翻訳の品質」の一部と考える新しい顧客層が増えている、という点です。翻訳によって売上を押し上げることができるか、それらが翻訳の品質あるいは成否を判断する基準となりつつあります。

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そういった翻訳の成果を測定・標準化する方法を議論する中で、少なくとも「クリック数や収益性等の基準が、何を翻訳するかの指針になる」という点は出席者たちの共通した意見でした。

Gengoにおいても、これらの要素が何を翻訳するかだけではなく、どのように翻訳するかを決定する重要な役割を果たしていると考えています。楽天のようなお客様がGengoを選んでくださった大きな理由の1つが、クラウドソーシングによる規模とスピード、そして自然な人力翻訳を組み合わせることで、コンバージョンレートの向上と投資対効果を実測出来たことにあります。楽天の場合、Gengoのプラットフォームで翻訳した製品ページのコンバージョンレートが、機械翻訳に比べ16パーセント上昇したそうです。

今回のTAUSフォーラムで、Gengoのビジョンと価値観が業界で起こりつつある重要な変化と一致していることを確認できたのは収穫でした。あらゆる分野で、そして手頃な価格で翻訳が利用できるよう変化が起こりつつあり、その規模は現在の私たちが想像できるだけでも膨大なものです。

私たちは、10月にポートランドで開催されるTAUSの年次会議でも引き続き議論をするのを楽しみにしています!


Matthew Romaine

The author

Matthew Romaine

Matthew is CEO and Co-Founder of Gengo. He grew up in New England (USA), London and Tokyo, all the while speaking English and Japanese. After graduating from Brown and Stanford, Matthew joined R&D at Sony to research the future of audio. Before co-founding Gengo he founded Majides, which powered TIME Top 50 website MiiStation.com.


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