機械翻訳後編集と進化するトランスレーターの役割
2024年までに15億ドルに成長すると見込まれている翻訳市場。近年、ビジネスのグローバル化が進むにつれ、同市場は着実な成長を重ねてきました。Eコマースやエレクトロニクス、旅行、サービスといった業界全体で、位置情報コンテンツへの需要が高まっています。この需要の高まりによって、翻訳会社・言語サービスプロバイダ各社様は、より速く、よりコストパフォーマンスの良い翻訳方法を選択する必要に迫られています。機械翻訳後編集(PEMT)は、機械翻訳のスピードと人力翻訳のクオリティ、その両方を実現できるソリューションの一つです。
PEMTとは?
機械翻訳後編集(PEMT)とは翻訳方法の一種で、より良い訳文を生み出すために、機械翻訳後に人間による確認・編集・訂正を行う翻訳を指します。機械翻訳(MT)の活用において、ポストエディティングは必要不可欠です。トランスレーターは、機械翻訳文に修正を加えるか、または翻訳し直すかの判断を下す前に、原文と機械翻訳文を比較し、訳文の正確さ・明確さのチェックを行います。そのため、納期がタイトにも関わらず、機械翻訳よりも高い水準の正確さが求められる大規模かつ費用対効果の高いプロジェクトには、PEMTは理想的なソリューションとなります。
機械翻訳は、トランスレーターの翻訳作業のサポートを行い、正確性を向上させる手助けとなります。翻訳にかかる所要時間も短縮してくれます。また、機械が記憶した情報に基づく予測翻訳が可能なので、効率性が大きく向上します。ですが、人工知能(AI)が近頃進歩しているにもかかわらず、機械翻訳は依然として人間のトランスレーターによるチェックを受けなければなりません。というのも、訳文の質を決める要素(原文に対する忠実性、正確性、明瞭性、スタイル)が守られていることを確認する必要があるからです。自動化は将来的に実現するかもしれませんが、完璧な技術の誕生にはまだまだ時間がかかりそうです。
進化する言葉のプロの役割
機械翻訳後編集のような新しい技術が誕生するにつれて、トランスレーターの役割は変化していきます。専門家が機械翻訳のアルゴリズムを微調整し続け、機械が生み出す訳文をより正確なものに近付けるほど、言葉のニュアンスに対する深い理解や独創性を持つプロのスキル・能力は、グローバルな成長を目指す企業様にとってより頼もしい存在になっていくと思われます。英語・英文学を専門とするある韓国人教授は、「人間の翻訳者や通訳者はおそらく、AIが行った翻訳をまとめる編集者になるだろう」と語っています。さらに、品質やスタイル、読みやすさの改善を目的として、より多くのトランスレーターが翻訳後コンテンツの編集・校正技術の習得を勧められることになります。
新たなトレンドや新技術によって、求められるニーズは人力翻訳サービスから、コンテンツライター、トランスクリエイター、コンテンツモデレーター/アナリスト、マーケティングリサーチャー等へ大きくシフトしていくと予想されます。
翻訳技術の進化=チャンスが増える
翻訳アプリや翻訳サイトによって、仕事が奪われると危惧するプロのトランスレーターも多くいることでしょう。ですが、実際のところは、こうした技術を提供する企業や言語サービスにより、トランスレーターはより多くのチャンスを得られるのです。米労働統計局は、2026年までに、通・翻訳者の雇用が17%成長すると予測しています。トランスレーターが新しい技術に適応し、市場の流れに取り残されないよう努力を続ける限り、翻訳という専門職は拡大し続けると思われます。
Gengoは、このような時代の流れや技術発展の到来を見越していました。2018年は、弊社がマルチサービスプラットフォームへと進化する年と言えます。翻訳以外のサービスを提供し、競争力を維持するための進化です。それに伴い、いくつかの言語ペアにて、PEMTの試運転を開始しました。弊社は、PEMTを利用して翻訳をより効率化することを目指しているため、ますます高まるお客様のニーズや需要を満たせると考えています。センチメント分析、コンテンツの作成・モデレーション・分析といった機械学習トレーニングデータのタスクを必要とする企業様は数多く存在します。Gengoは、トランスレーターに対しより多くの翻訳の機会を提供し、より多くの企業様の成長と拡大を支援するため、最近、高品質AIトレーニングデータの提供を目的とした事業に投資を行っています。
翻訳業界が進化する中で、トランスレーターや言葉のプロにとって、スキルを磨き、新しい技術への親和性を高め、来るべき変化に備えることが重要になっています。
大規模AIデータトレーニングとクラウドソーシングサービスにご興味のある方は、Gengo.aiのウェブサイトをご覧ください。