Gengoの顔: Masami
シニア翻訳者 (ST) は、Gengoコミュニティでは重要な役割を果たしています: 彼らは、翻訳者向けのテストを作成・改訂する他、翻訳者にフィードバックを提供し、品質保持にも貢献しています。今週は、GengoのSTの1人で、通常のGengo翻訳者としても長い経験を持つMasamiをご紹介します。Masamiは英国の自宅から、日本語から英語の言語ペアの管理を行っています。
何カ国語話せますか? 習得法は?
ラテンアメリカ系スペイン語、日本語、英語を話します。生まれたのは日本で両親も日本人ですが、2歳のときにエクアドルに引っ越すことになりました。エクアドルには18年間住み、その後、大学の学位を取得するために英国に移りました。それ以来、英国に住んでいます。日本語は家で学び、スペイン語は学校で学び、英語は中等教育を受けたアメリカンスクールで学びました。
仕事のおかげで得られた、興味深い体験はありますか?
これまで、翻訳で出張することはありませんでしたが、以前にソフトウェア開発の仕事をしていた時は、言語スキルのおかげで多種多様なクライアントと仕事をする機会に恵まれました。英国を離れてスペインに行き、顧客のためのソルーション開発を3日間手伝った後、その足でスペインから日本行きの飛行機に乗りこみ、それから3日間、私たちのソフトウェアを再販しているパートナーを手伝ったこともありました。
当時、日本のクライアントと一緒に働きながら、スペインのクライアントからの簡単な質問に電話で答え、英国にいる自分のチームに同時進行で連絡を取り合っていました。時差ぼけとひどい風邪のせいもあり、こうした国の間で頭を休めることなく (言語と文化、両方の点で) 切り替えることが非常に困難になっていました。スペインのクライアントとの電話の後、いきなり振り向いて、スペイン語で日本のクライアントに話し出したのですから、大笑いされますよね!
翻訳を始めたきっかけは? 翻訳はフルタイムでされていますか?
家庭を持ちながら、終日オフィスで働き、自分の子どもを託児所に預けるような親にはなるまい、と決めたんです。子育ができないのであれば、子どもを持つ意味はないと思っていました。
ITやソフトウェア開発の仕事はパートタイムではできませんし、フリーランスの仕事にも憧れていました。そこで、新しい分野に進出することに決めました。ずっと語学に興味があったので、翻訳の仕事に挑戦することにしました。娘を産んですぐ、翻訳に関する通信教育を受けました。その時は、英語・スペイン語間の翻訳を専門にする予定でしたが、日本語から英語への翻訳を選びました。翻訳者の人材プールがはるかに小さかったからです。それに、日英の方が興味深く、やりがいがあると思っています。この2つの言語の構造は全く異なりますから。以後は、日本語から英語への言語ペアの仕事に集中することに決めています。
現在の私の仕事は主に翻訳で、ちょっとしたソフトウェアのコンサルティングも時々します。仕事はパートタイムで働き、娘と一緒に過ごす時間や自分の趣味を楽しむ時間を持つようにしています。昨年、娘が学校に行くようになってからは、仕事のための時間は増えました。
翻訳関係で、最も楽しかった経験と最も難しかった経験は?
これまでに最も楽しかった翻訳経験は、日本語の子供向け絵本をあるクライアントのために翻訳したことです。娘は本が大好きなので、私たち親子はたくさんの本を読みますし、そうした本を翻訳するのは本当に楽しいです。子供向けの本を翻訳するのは簡単だと思っている人は大勢いますが、実際はきわめて難しい仕事です。対象とする年齢層にふさわしい言葉を選ぶ必要がありますし、微妙なトーンやニュアンスも正確に伝えなければなりません。
私は、翻訳を娘に聞かせながらテストをします。娘は、私が絵本を翻訳していると知ると大喜びするんです。それに、この顧客と素晴らしい関係を築けていることも個人的なやりがいを感じています。この顧客は、私が楽しんで翻訳した本を、感謝の気持ちとして送ってきてくれたこともあります。
最も難しかった経験ですか? 以前、感情的なトラウマ (親しい友人や親戚を失うなど) を経験した人々の体験談を翻訳しなければならなかったことがありました。使われた言語ではなく、そうした言葉に秘められた感情という点で、困難な経験でした。涙のにじんだ目で、ノートパソコンに向かわなければならなかったこともあり、画面を見るのに苦労しました!
クライアントにとってそこまで個人的な事柄を翻訳していると、自分の翻訳が意味や心情を正しく伝えるように最善の努力をしようと、いつも以上に思います。そして、いい仕事ができただろうか、と少し不安になります。
あなたのオフィスまたは仕事場の様子を教えてください。窓や仕事場からの眺めはどんな感じですか? 毎日どんな景色を見ていますか?
私は、英国にある自宅で仕事をしています。二階にあった空き部屋をオフィスにしていますが、そこに自分ひとりでいると少しさびしくなることもあります。夫も在宅で仕事をしており、彼のオフィスはキッチンの隣りにあります (コーヒーを飲むのに便利ですよね!)。私は最近、一階のダイニングで仕事をしています。そこにいると、静かな環境を保ちながら、気が向けば夫とおしゃべりすることもできます。私の左側には居間があるだけですが、右側にはサンルームが見え、庭に続いています。目を休めたい時は、小鳥や花を眺めるようにしています。
言語的・文化的見識から、他の人に特におすすめしたい本はありますか?
私は夏目漱石の作品が好きで、村上春樹が書いた本もほとんど読んでいます—彼らの作品は、翻訳版であっても素晴らしい読み物です。ちなみに、映画での一番のお気に入りは、『南極物語』と『ハチ公物語』です。
仕事中につまむお気に入りの「翻訳者スナック」は何ですか?
間食はまったくしません。大抵は、仕事を終えた後に「もう昼食や夕食の時間で、お腹もペコペコだ!」と気づくのです。
利用されているオンラインツールで、業務の効率化に最も役立っているものは?
効率化ツールや翻訳ツールは、実のところ、何も使っていません。ただし、Googleなしで翻訳するのはほとんど不可能だと思っています。
最後に、仲間であるGengo翻訳者へのアドバイスとして、翻訳者としてリラックスしながらストレスに負けないで翻訳をする一番良い方法を教えてください。翻訳者として仕事を始めたばかりの人へのアドバイスもお願いします。
私はずっと、運動支持派なんです。昔はキックボクシングに打ち込んでいて、その後は長距離走をやっていました。現在は、太鼓の演奏と水泳を行っています。運動は、ストレスを解消して、前向きな気持ちを維持するのに最良の方法だと思いますよ。
新人翻訳者向けに提供できる最良のアドバイスは、本当に興味を持てる仕事を引き受けて、徐々に自信をつけなさい、ということです。そうすれば、やる気を持続しやすくなりますし、翻訳者として燃え尽きることを防ぐ効果もあります。
私が仕事を始めたころ、非常に長くてつまらない、ある企業の財務報告書の翻訳を引き受けたことがありました。翻訳することはできましたが、全体的にかなりつらい経験でした。この経験は私の自信にも悪い影響を与えました。これは、駆け出しの新人にとってあまり良いことではないですよね。高い報酬がもらえる案件を引き受けるのは重要ですが、まずは本当に興味を持てる仕事を引き受けて、徐々に自信をつけていく方が良いと思います。
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